Type２５１

　１９５３年になってブガッティが突然レーシングカーの製作を始めました。これはエットーレの次男でジャンの弟でもある

　ローラン・ブガッティの発案によるものだった様ですが、この時期のブガッティは経済的にも厳しい状況でグランプリに挑戦

　するというのはあまりにも無謀な計画でした。


　　ローランは元アルフアロメオのジョアッキーノ・コロンボにこのマシンの設計を委託し、チューブラーフレームの運転席の

　直後（すなわちミッドシップ）に直列８気筒２,４３２CCのエンジンを横置きに搭載した極端に短いホイールベース：2,184㎜

 のレーシングマシンを完成させます。 これがブガッティ宗家が製作した最後のレーシングカー：Type２５１でした。


　　１９５５年にプロタイプである１号車がテスト走行を行い、１９５６年にランスで開催されたフランスグランプリには２号車

 と共に２台のＴ２５１が持込まれ名手モーリス・トランティニアンがドライブしました。結果は１８周でDNF(つまりリタイヤ）

　でした。リタイヤの理由はメカニカルトラブルとか、トランティニアンが操縦性のあまりの悪さからレースを放棄したとか、色々

　ありますがとにかくT２５１はこの１レースにのみ出走しその後レースには出走しませんでした。


　　ちなみにこのグランプリに勝利したのはランチャD50（いわゆるランチャ・フェラーリD50でした）。

　　　　　クリック　⇒　ランチャ・フェラーリＤ５０　
　ＪＰＳ　（仏）　ＫＰ８０Ｂ
　　　１/４３　レジン（塗装済みキット）

　　フランスGPにトランティニアンのドライブで出走した１号
　車です。「２８」のコンペティションＮoが無いのはミュール
　ズ博物館に展示されている実車を再現したためです。

　　このJPSのキットは車体がフレンチブルーに塗装済で
　後は自分で組立ててくださいと言うタイプのキットです。

　　車の模型を作る際に最も神経を使うのが車体の塗装
　なので塗装済みと言うのは大変ありがたいです。

　　エキゾーストを洋白パイプに置換え、ステアリングは私
　の得意技であるエナメルのブロー＆クリアーでウッドステア
　風に仕上げました。

　　製作途中の１／６４　ＰＩＣＣＯＬＯ　ＭＯＤＥＬと並べて、製作中
　のモデルの車体フォルムを確認しているところ。




　ＪＰＳ　（仏）　ＫＰ８０A
　　　１/４３　レジン（塗装済みキット完成品）

　　フランスGPに１号車と共に持込まれた２号車です。
　１号車と同じ２８のコンペディションNoを付けています。
　  このことから１号車のスペアカーとして参戦したことが判
　ります。
　　１号車と比べて車体フォルムが変更されています。より
　低くなったノーズや、エンジンルームのエアインテークの穴
　が大きくなり、リアエンドの形状も変わっています。

　　２号車のミニカーは殆ど見たことがありませんのでこれは
　それなりにレアな存在かと思います。ネットオークションで
　見つけて落札しました。
　　塗装済みキットを誰かが完成させたものですが、出来は
　かなり良いです。プロのモデラーかそれに近い方が組上げ
　たものと思います。



　ＰICCOLO MODEL (日）　Ｎo.001
　　　１/６４　レジン（キット）

　　関西でレジンモデルを製作しているピッコロモデルファク
　トリーのキットです。

　　たまたまかも知れませんが私の購入したキットはレジン
　の抜けが甘く車体の修正が結構大変でした。

　　1/64と小さいのですがT251のフォルムは十分に再現
　されていて原型製作者のＭ氏の力量は確かです。

　　タイヤも含めて全てがレジンキャストのみのキットなので
　加工は容易ですが、フロントとコクピットはある程度この
　クルマのイメージを頭に入れてから削ることをお勧めします。

　　フロントウィンドウの取付け金具とエキゾーストパイプは
　手持ちの金属部品と置き換えました。
　　
　　タイヤと一体のワイヤーホイールもレジンのキャストです
　が塗装でスポークの感じを出して見ました。

　　サイドビューはずんぐりした車体の特徴がよく出ています。

　　




　PICOLINO (英）　
　　１/７8 ホワイトメタル（メーカ完成品）

　　コンペッティッションＮo.23のデカールが貼ってありますが、
　この番号でレースに出場した記録はありません。
　　唯一出走したレースであるフランスグランプリでは２８番を
　付けて出場しています。

　　全長５０㎜程度の小さなミニカーなので熱抜きの為のル
　ーバーがゴツい仕上げになってしまいましたが、あえて省略
　しなかった事に軍配を上げたいです。
.
　　フロントグリルとワイヤーホイールにはエッチング部品を使っ
　ています。
　　実車のフォルムはもっとずんぐりした感じですが平たく細長
　い感じの車体になっています。




メーカー不詳　（仏）
　　　1/120 磁器

　　磁器製のフェーブ（Ｆeve）です。

　　Ｆeveは仏語でそら豆のことで毎年クリスマスから１２日目に当
たる１月６日の公現節（エピファニー）の日に食べるガレット・デ・
ロア（パイ菓子）の中に１つだけ入っています。ピースの中にフェー
ブが入っていた人は１年を幸せに過ごすことが出来ると言い伝えら
れています。

　　元々はそら豆を使用していましたが１８７０年代に磁器が登場
して以来現在では磁器製や陶器製が主流になっています。コレク
ションアイテムとして多くの熱心な収集家がいます。

　　このフェーブはＴ251をモデルにしたもので私のＨＰで紹介して
　いるものだけでも４車種ありますので他にもフェーブ化されたブガ
　ッティの車種があると思います。これらはブガッティ社から正式な
　ライセンスも取得している逸品です。

　　なお、スケールの１／１２０は実車のホイールベース：2184㎜
　とこのモデルの車軸間距離（約18㎜）より算出しました。





   下）ブガッティのフェーブ。右からＴ４１、Ｔ５１、Ｔ５５、Ｔ２５１
　皆製造メーカーは同じです。どれも磁器独特の艶があります。



メーカー不明
　　１/40　ソフトビニール
　
　　　スケールはホイールベースから算定した推定値です。

　　　もともとスケールモデルではなく幼児向けのチープトーイの
　　類いで、フロントの空気取入口や座席後部のバルジの位
　　置が右に寄っているなどフォルムはかなりいい加減です。

　　　ただ一つだけ褒めるとすると通常チープトーイのハンドルは
　　左になっている事が多いですが、このモデルではちゃんと右
　　ハンドルです。ブガッティはフランス車ですが全て右ハンドル
　　なのです。

　　　ならばほんとうにＴ２５１なのかと言うと、何と裏面にはちゃん
　　と"BUGATTI"と浮彫りされているのです。ブガッティでこの
　　車体形状をもつのはＴ２５１だけです。

　　　幼児向けのそれもかなりのチープトーイですが、高価なミニ
　　カーよりもむしろレアな存在です。

　　　長い間、特定の車種を追いかけているとこんな珍品にも
　　巡り会えます。

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