FORD GT40 ＭＫⅡ製作記

MENGMODELの１／２４：フォードＧＴ４０ＭＫⅡの製作記です。このキットはエンジン付きでエンジンカウルがオープン

　してエンジン部が見える様になっていますが、エンジン部だけではなくフロント部や室内も作り込んで全開閉にします。

　幸いＧＴ４０の資料は沢山あるので手元の資料にネットで拾った情報も加えて可能な限り実車に忠実に作成します。

＜１　ドアとフロント部の切取り＞

　　全開閉にするためドア部とフロント部を車体から切り離します。ＢＭＣタガネの０．２㎜を使って筋彫りを深くしていき車体と切離し
　ますが、Ａピラーなどを含む窓枠周りが非常に細くなりますので、少し切離してはマスキングテープで固定して少しずつ切り離して
　いきます。ここが第一の難所です。
　　下の写真のＧＴ４０ＭＫⅡは左がフジミ、右がＭＥＮＧＭＯＤＥＬです。今回、この２つのキットを使いそれぞれのパーツからいいとこ
　取りをします。ＭＥＮＧＭＯＤＥＬのライト周りは明らかにおかしいので、フジミのライトカバーを使って形を修正しました。

　フジミのＧＴ４０は１／２４の決定版で多くのプラモファンから絶大の支持

をえているのですが、エンジン部がリアのほんの一部しかないので開閉モデ

ルには出来ません。

　ルーフに入り込んだドア部を切離すためにプラ板でガイドを
作って、タガネで筋彫りを入れていきます。

　下の写真はフロント部と右ドア部は切離し済で、最後に左
ドアのサイドの切離しにかかっている所です。切離し済の所は
マスキングテープでガチガチに固定しています。

　下の写真は切離しが完了した状態です。
　左下の写真はライト周りの形状を修正したためキットに付属
のライトカバーが合わなくなってしまったので、ライトカバーをバキ
ュームフォームするための型取りをしている所です。
　本来ならフジミのライトカバーが使えるのですが、端にクラックが
入ってしまったので念の為に型取りしています。
　※最終的にはバキュームフォームした方を使いました。

＜２　全開閉にしたための追加パーツの製作＞

　　全開閉にしたために完成後に見えてしまう部分を新規に作る必要があります。フロント部の構造物は実車や１／８のＥＸＯＴＯの模型など
　を参考にしてプラ板やエポキシパテなどで作りました。ドライバー席の左右のサイドシルはフジミから切取ってつけ替えました。今回はフジミ用に
　開発されたＰＬＡＳＡＬＦＡのドライバーズシートを使う予定ですが、余計な部分を少し削るだけで見事にフィットしました。

　下の写真は車体中央のモノコックの上部構造です。厚紙で
型を作って、それをもとにプラ板を切りだしました。

　下はオイルタンクです。プラ板とエポキシパテでそれらしい形状
にして、細部を整えていきます。フィラーキャップはフジミのものを
使いアルミ板を使って開閉式にしました。

　ラジエターの放熱板は実車同様にアルミ板から作りました。

＜３　ドアの開閉機構＞

　　ＧＴ４０のドアは屋根の中央まで食い込むような特異な形状をしていますが、開閉機構は至ってシンプルです。実車同様にモノコック側に
　受けを作ってドアを差込む形でヒンジを作ります。どうもこの様な中央モノコック構造の車体ではドアの開閉機構はこうなってしまうのでしょう。
　　ちなみに私のロータス・エリーゼもほぼ同じ構造です

　ドアは塗装やデカール、クリアー掛け、研ぎだしが終わってから
再び車体に取付けられる様に、ピンを差込むことで脱着可能
にしてあります。

　車体に取付けて各部とのチリ合わせを行い、コンマミリ単位
以下で削ったりパテ盛りしたりして、再度車体に取付けを繰り返
してよいあんばいになるようにします。

　これで完璧なチリ合わが出来たと思っても、塗装が終わってい
ざ車体に取付けると、チリが合わなくなってる事が多いんです。

＜４　フロントカバーのスペアタイヤ取出し口の開閉機構＞
　　０．４ミリのアルミ板を３枚重ねて雄側と雌側の蝶番を作ります。何枚か作って出来のよいものを使います。

　若干オーバースケールですが、あまり小さくすると強度が不安
なのでこれでヨシとしました。

　　上下の写真。開けた状態と閉じた状態です。

　蝶番ひとつずつが単独で開閉しても２連でスムーズに動かな
いとダメなのでその辺の調整をしました。

＜５　ブレーキディスクとキャリパーの加工＞
　　１９６６年のＧＴ４０は前後ともにベンチレーションディスクが採用されているので、ワッシャーを使ってそれを再現しました。ちなみにタイヤ
　とホイールはフジミのものを使うことにし、小ねじを埋め込んでスクリューマウント方式で脱着可能にしました。何故って、タイヤを外さないと
　ブレーキとキャリパーは見えませんからね。

　キットのブレーキパーツからディスクに相当する部分を削りとり
ます。そして、ワッシャーを二枚重ねてその間の羽に当たる部分
にプラ板を挟みこみます。

　ワッシャーはリューターに取付けて回転させ、ヤスリで回転キズ
をつけてあります。

　こうして作成したディスクとキャリパーを前後のアップライトに
取付けてブレーキ部分は完成です。

　タイヤ＆ホイールの脱着方式は実車と同じようにしようとしまし
たが、小ねじのナットの大きさが３星型のスピナーの中に収まらず
諦めました。もっと小さなネジを使えば可能ですがここは強度が
必要な部分なので強度優先にしました。見ただけではわからない
しね・・。

　今回、タイヤ＆ホイール＆スピナーは全てフジミ製のものと置き
換えましたが、そのために２台のフジミキットが犠牲になってます。
　スペアタイヤを入れると前輪３本、後輪２本分のタイヤとホイー
ルが必要だからで～す。

※ＭＥＮＧＭＯＤＥＬのタイヤは幅広で若干小径なのと、ホイー
　ルに至っては圧倒的にフジミの方が出来がよかったので、換装
　しました。

＜６　車内小物などの作成＞
　　１９６６年のＧＴ４０MkⅡには室内にロールバーが取付けられています。MENGMODELのキットでは省略されている（確か１／１２のキット
　にもなかった）ので針金で自作しました。トランペッターの１／１２のキットにはついていましたので、実車写真とトラペの組立手順書などを参
　考にしました。ルームミラーは屋根裏ではなくロールバーに取付けられています。
　　ステアリングはフジミのものをベースに加工したものをつけました。シートはPLASALFA製のものを使用しています。これかなりいいです。

　フューエルキャップはMENGMODELのものは小さ過ぎるので、
フジミのものを加工して開閉式にしました。

　開閉めで力の掛かるヒンジ部分と、細いキャッチ部分はアルミ
板を使っています。いちおうガソリンタンクまで通じるパイプも作り
ましたが、完成すると誰も気がつかないと思います。
　虫眼鏡レベルでよく見るとフタの中が穴ではなくパイプ状になっ
てることがわかりますけどね。

　消化器です。キットのものに多少手を入れてます。

＜７　カウル等の修正＞
　　キットではリアカウルのブレーキ冷却ダクトなどの穴が埋まっているので、これを掘り出して貫通させます。左下の写真の右側が貫通させた
　状態で左側はまだ埋まった状態です。同じくフロントカウルのベンチレーションダクトも貫通させます。ここが埋まっていると目立ちますから・・。
　　MENGMODELのプラスチックは柔らかいので穴掘りしやすかったです。

　この後、、車体全体を点検してサフェサーで修正してから
車体の塗装に入ります。

＜８　車体の塗装＞

　　本物を見たわけではないのでイメージですが、ガルフブルーより白っぽくて暗めのブルーの印象です。フィニッシャーズのガルフブルーを
　同じくフィニッシャーズのピュアホワイトで薄めて（１：１くらいで白を沢山加えました）、クレオスのミディアムブルーを少したらす感じで色調を
　暗めにしました。クレオスの７２番ミディアムブルーはシューマッハのブガッティＥＢ１１０ＳＳを作った時に車内色に使ったものの残りです。

　　実際に塗ってみないと分からないので、フジミのＧＴ４０に吹き付けてみると中々良い感じなのでこれで行くことに。最初からパーツ毎に
　塗るとパーツ境界部のエッジが厚くなってしまうと思い、最初はパーツを前部付けた状態で吹き付けました。

　その後、パーツ毎に車体色を吹いて乾燥させ、クリアーを吹
いてからマスキングをして赤の識別帯を塗装しました。
　下地にクリアーを吹くことで、マスキングから塗料がもれた場合
にコンパウンドで取り去ることが出来ます。

　この後、デカール貼りに進む訳ですが、クリアーを掛けておく
ことでデカールの段差消しにも有効な様な気がします。

＜９　デカール貼りつけ＞

　　どうゆう訳か、このキットのデカールにはドアの屋根部分に食い込んでいる箇所のストライプ（白にブルーの縁取り）が添付されていません。
　２号車用のゼッケンサークルから白帯を切出し、ブルーのラインは手持ちのジャンクデカールよりなんとか切出しました。

　ゼッケンサークルが冷却ダクトにかかっていますが、ここはカーブ
が急なため添付のデカールは使わず塗装しました。

＜１０　エンジン製作＞

　　もともとエンジン付きでリアカバー開閉可能なキットだったので、エンジンおよびその取り付けは問題ないだろうと思ってあまり事前チェックして
いなかったのですが、それが裏目に出て苦労することに。例えば、完成すると全く見えなくなる部分に時間を割いて詳細化したり、エンジンブ
ロックを先に全部組んでしまったために、後部バルクヘッドの取り付けが出来なくなってしまったとか・・。

　リアサスペンションの保持アーム。後にリアタイヤの位置が後ろ
過ぎることに気がつきこのパーツを削って位置調整することに。

　組立手順では、最後にエンジンの上部分（ロッカーカバーと
エキパイ）を乗せる様になっていますが、先にエンジンブロックを
組んでしまったので、エンジンが入らなくなってしまった。

　上の写真のベルト駆動部（ウォーターポンプ、オルタネーター）
はキットのものをかなり弄ったけど完成すると全く見えません。

　キット付属のエキゾーストパイプは彫りがかなり甘いので彫り
直して、さらに手順通りに取付けできなくなってしまったので後半
部を上下二分割しました。ついでに前後パイプの接合部分はア
ルミ板と虫ピンを使って実車と同じ構造を再現しました。

＜１１　タイヤ＆ホイールの製作＞

　　今回、タイヤとホイール、スピナーはキット付属のものではなく、フジミのＧＴ４０のものを使います。キット付属のものはタイヤ径が小さく
　幅広なのでちょっと迫力に欠けます。この時代のスポーツカーのタイヤは径が大きめで幅が狭いイメージです。また、ホイール、スピナーの
　造形は明らかにフジミの方が優れています。

　タイヤには青色の線が入っています。径の異なるタイヤに変え
てしまったのでキットに付属のデカールは使えません。
　カラス口コンパスで線を画きます。今回、はじめてトライしてみ
ましたが、意外に綺麗に描けました。

　ＧＯＯＤ　ＹＥＡＲのロゴ・デカールを貼って完成です。車体に
取付けて見ると後輪の位置がやや後ろに寄りすぎています。

　　スペアタイヤも製作しました。

＜１２　細部の作り込み＞

　　最終段階となる部品の製作と細部の作り込みを行います。
　　・フロントウィンドウを除くすべてのクリアパーツにピンを埋込みます。０．４ミリのドリルで穴を開けて滋賀昆虫社の００番のインセクトピンを
　　　差し込みます。固いものに小さな穴を開ける時にはオイルをつけるとスムーズに穴が空きます。私はいつもサラダオイルを使ってます。
　　・さらに小さな穴は、フロントと屋根のボンネット・キャッチピンの留め具の取付け穴で、０．３ミリの穴を開けます。下の写真は塗装で埋ま
　　　ってしまった穴を００番のインセクト・ピンの先で広げている所です。
　　・車体前部の構造については実車の資料で分かっていますが、ルマン出場の１０１５車の詳細については、白黒写真等で細部がよく分か
　　　りません。今回、ＥＸＯＴＯの１／８の精密ミニカーの写真が貴重な情報源となりました。

　このキットは前輪がステアします。もとのキットの状態でもタイヤ
のふちがタイヤハウスに干渉して完全には切返しできませんが、
より大きな径のタイヤに替えたためより切返しが狭くなりました。

　キットに付属のロッドは実車と大分異なるのでフジミのパーツ
から一部を流用し、アームも洋白線に替えました。

　前輪の取付け状況です。ここにオイルタンクとスペアタイヤ、そ
れにモノコックの造作やブレーキ冷却ホース、オイルパイプなどが
追加されるので、ステリングバーは殆ど見えなくなります。
　オイルタンク下のモノコック部を楕円形に削っているのは、スペア
タイヤを収納した際のフロントカウルとの干渉をクリアするため。